法人だろうが個人だろうか、契約は非常に大事です。システム開発においても、物品購入契約・請負契約・委託契約・NDA契約・人材派遣契約などなど、会社に勤めている方ならいろいろ経験されていると思います。
その契約について改めて年下の子に説明する時に、私自信の理解が足りてない部分があったので、標題の本を読んで勉強してみました。
本自体の書評と契約について追加調査したことを記しておきます。
書評
契約という難しく多種多様に存在する約束事を、お金周りが厳しく時間猶予もないベンチャーの人でも、最低限ここだけは絶対に注意すべきという必須ポイントに絞って紹介してくれております。
また解説の分量も非常に多いです。契約書の堅苦しい条項部分は1ページ中で約1/4未満で抑えられており、残りは筆者が経験してきた注意や痛い思いを含んだ解説になります。
法務のプロを目指す人には物足りない本です。ただ、私のようにそうではなく、まず契約書って何を意識すべきなのか迷っている人にはおすすめの本です。
契約の重要ポイント
背景(何故重要か)
・現在の社会スピードに法律保護は追い付けず、予期せぬリスク低減には契約が必須
・法人の場合は、消費者保護法などの法律の保護がない(より少ない)
・「契約自由の原則」により、法律違反でない限り契約内容が原則 ※例外はあるが
・大企業ほど「法律違反」の条項は少なくても、自社に「有利」に仕込んでいる
要注意表現(自分だけが義務やリスクを負ってないか)
・主語が自社になっている所
→一方的に義務やリスクを負っていないか
・義務事項(~しなければならない)
→法律上の義務を超えて、常識的にもおかしな義務事項がまぎれこんでないか
この表現によく理不尽に近い物が入れ込まれる
私の中で特に印象に残った事
・損害賠償額の上限額の明確化は、発注側にもメリットは(一応)ある。
→何も規定がないと損害額の立証しないといけないが、上限額があるなら、
その額から議論開始できる。
・上限額のセオリーは「契約金額」
・違約金回収の一例
もし、引き抜きされた場合、引き抜いた人とその会社から賠償金をもらうとする。
※法人対個人ではなにかと保護があるが、法人対法人なら対応が回避困難。
・第三者の権利侵害時の賠償(事実上の業務指示が発注側の場合も)
→よく、成果物で第三者の権利(知的財産権等)を侵害した場合は、
その被害は製造した側が責任・賠償金を支払うというフレーズがあります。
一見すると、製造側の人や企業が侵害しないよう注意すべきであるし、
もし発生してしまったのならば、当然の保証かと思いました。
しかし、もしも事実状の業務指示が発注側からきている場合、
お金もらう発注者側の意向は無視できませんし、それに従って製造した物で、
後々に三者権利侵害でさされるケースもありえるとあります。
製造側が主にデザイン等できるのか、そうではないのか業務遂行の計画を
おさえるべき。
・第三者のとばっちり防止
三社で契約を結ぶ際に、自分の影響できない2つの会社間で賠償を被らないよう、
具体的な分担や責任を決めるべき。
契約書変更できなくても契約書は理解すべき(リスクヘッジはできる、世知辛い)
何かの力関係によって、事実上相手の雛型を丸のみするしかできないケースもある。
そんな時でも腐らずに契約書を読み込む事は大事。というのも、自分が賠償する必要がある範囲について理解していれば、業務遂行時にそこを重点的に会議を設ける、
また自社が他社に発注する所があるなら、その被害を考慮にいれた契約を結ぶようにするなど、リスクヘッジができるため。
フェアな契約を結ぶようにすべきと思いつつ、資金力がまだなく交渉の時間がもったいないベンチャーや上下関係がある大手対中小であっても、しっかり理解すべし
(※世知辛い・・・)
まとめ
そもそも論ですが、契約の損害賠償等が発生するかもしれないので、しっかり条項を作ろうというよりも、そんな微妙な相手や企業とは契約しない方がいいです。たいていの事はお互い協力しあって解決にむきあうが、それでも万が一に備えてルール決めましょうの考えからスタートすべきですね。
全部はとても紹介しきれませんが、存続条項も2年~3年がよいなど具体的なノウハウもあり、書評と被りますがよい本だと思います。
Tips
・裁判に勝っても相手に財産なかったら、お金は得られない。
→だから請求先を法人にする方がおい。
・口頭でも契約は成立する、契約書はあくまで後日の証拠づくり
→録音でも効力はでる模様。役職者ほど言動には注意。
・提供データは適法の取得方法である事は保証できるがそれ以外は困難。
→AIなどそうだが、そのデータで効果でるかはわからないので、
効果は約束できない(提供側ならしない方がよい)
・悪徳商法が多い7つの業種があり、だから特定商法取引法がある。
・これらを見て怖くなったり面倒になったら、弁護士等のプロに頼もう!
→筆者の宣伝うまい・・・