海外スマホ利用する時に技適とれているのか、外国人旅行者が日本に持ち込んだ端末って日本の法律上使用していいのかなど、問題になっていたかと思います。
改めて情報通信系の人間として頭の整理をしてみました。専門家ではないのでだいたいあっているのではくらいの感じで見てもらえると助かります。
無線通信の仕組みかと思ったら、電気通信事業もでてきたので大枠から自己整理してみました。
概要
技適とは日本国民が安心して通信ができるように設けられた制度であり、大きく2つの似た制度を示している事が多い。
1.「技術基準適合認定」※電気通信事業
電気通信事業者の設備に接続して良い端末であると技術的に認証する仕組み
例えば、携帯電話やスマホやアナログ電話機やファクスなどが対象。
背景)
この認定を取得していない端末は、電気通信事業者の通信設備や通信サービスに、混信や通信不能などの悪影響を与える恐れがある。そのため、法令で禁止はされていないものの、各電気通信事業者の約款(契約)において特別の義務が課せられている場合がある。
(NTT東日本の約款では、この認証を受けていない機器を利用する場合には「当社所定の書面により接続の請求を」しなければならない)
※海外で購入した電話機などは認証を受けてない事がある。
2.「技術基準適合証明」 ※無線
電波を発する比較的小規模な無線機器に対し適用される仕組み。
例えば携帯電話、タクシー無線や船舶無線、アマチュア無線など対象。
こちらは、未認証の無線機器を日本国内で使うことが法令で禁止され、上記の仕組みよりも厳しい。
背景)
考えなしに電波を発信すると、他の電波と混信し、その影響が広範囲、かつ被害が甚大になる恐れがあるため規制が強い。
※電線の中に電気信号が閉じ込められている有線通信や、光ファイバーの中にレーザー光が閉じ込められている光通信より、無線は影響が広いため。
3.「工事設計認証」※無線
2.「技術基準適合証明」は実際に1台1台を所定の検査にのっとって電波測定を行い評価するルールになっている。そのため、現実的に大量生産品として世の中にでている端末(携帯・スマホ等)をこの仕組みでだけでは回し切れないため、「工事設計認証」と呼ばれている仕組みがある。
工事設計認証は、「製造工程」に関する検査を行ってあらかじめ認証を与えておき、その「認証を与えられた製造工程」で製造された無線端末には技術基準適合認証と同等の扱いにされる仕組みが登場した。
- 少数の試作品は技術基準適合証明
- 量産品は工事設計認証
追加調査)
技適認証で有名なTELECの公式見解がある下記ページより、同等と捉えていいのかなと思います。
電波法に基づく技術基準適合証明(以下「技適」といいます。)と工事設計認証(以下「認証」といいます。)は、証明を取得した後の電波法上のメリット(簡易な免許手続きや免許不要等の措置)は同じですが、主に以下の点が異なります
4.「技術基準適合自己確認」※無線
出力が弱いなど、電波の混信リスクが著しく低い無線端末は、メーカが自己確認して問題なければ技適マークを張れる。※日本国内で使用してよくなる。
5.「相互認証協定」
外国人が自前の端末もってきて通信する時や、逆に日本人が海外で自分の携帯・スマホを使う時に法律違反とならないよう、相互認証の仕組みがある。
まとめ
無線製造メーカに技適とれてますか?など聞けば上を意識せずとも自然に問題ないようにしてくれていると思いますが、基礎知識として技適といって種類があることは抑えておくべきですね。個人的にもいい勉強になった気がします。
終わりに
また、深追いはしませんでしたが、電気通信事業の1.技術基準適合認定の方も、工事設計認証や自己確認のパターンもあり、この通信関係は悪影響が広範囲かつ他者にまで関わるので規制が多くあるんだなと認識しました。
もし、新たなデバイス・ガジェット(特に海外新興ベンチャー)をもって新たな製品やサービス開発を行うと思った際は、技適関係が問題ないかチェックが必要ですね。
それでも必要な時は、電波が外に漏れない電波暗室とか実験用無線免許などによる申請が必要をしっかりすることも忘れないようにします。ただ、電波暗室もサイズや項目によって価格は違いますが、1日(10万、20万、30万)とかなりの費用に思えるので、やはり購入する際は技適大丈夫かはしっかりと確認した方が絶対にいいですね。
開発費用に見込んでおかないとペイしない物になりかねませんし、法律違反でペナルティくらうとそれで該当プロジェクトは破綻してしましいますし。