都内の電車通勤される方なら東京メトロや都営地下鉄に乗る事も多いかと思います。
さまざまな駅や路線が狭い地域に集約している東京で、お客様に伝わる路線図を工夫して設計されているという記事があり、資料作成にも使えそうだと思い残しておきます。
ポイント)
・乗降客数に応じて駅の表示サイズを変化させる
・完全な位置関係を表すではなく、乗り換えや概ねの位置関係をわかりやすくして、どこで乗り降りすべきを意識した表示
・全駅均等表示でなく、より乗降者が多い駅ほど大きくわかりやすい表示に
東京メトロの路線図についてです。現在の東京メトロの路線図は2003年にリニューアルされたもので、東京メトロとぴあ株式会社が共同開発したものです。東京メトロの路線図をみていると、多くのデザイン上のルールがあることに気がつきました。まず、東京メトロの路線図では駅名の大きさが4段階にわかれています。
①最も大きいサイズ(銀座駅、大手町駅、霞ヶ関駅、表参道駅など)東京メトロの路線が2路線以上乗り入れる駅 ※その中でもさらに東京駅、新宿駅、渋谷駅、池袋駅、上野駅のターミナル駅はサイズが大きいかつ、地の色が若干黄色っぽくなっています。
②2番目に大きいサイズ(恵比寿駅、目黒駅、六本木駅、新橋駅、浅草駅など) 東京メトロの路線が1路線以上通っており、さらに他路線(JRや都営地下鉄)が1路線以上乗り入れる駅
③3番目に大きいサイズ(汐留駅、大門駅、品川駅、三田駅など) 東京メトロの路線は通っておらず、他路線が2路線以上乗り入れる駅
④最も小さいサイズ(外苑前駅、乃木坂駅、虎ノ門駅、赤坂駅など) 1路線しか通っていない駅
かなり細かい点ですが、これらをルール化することにより全体の見やすさが考えられています。
昔

課題1 入り組んでいる路線図がそのまま表現されており、複雑な情報が複雑なままになっています。また、駅名が散らばって記載されているように見え、駅同士の位置関係が非常にわかりにくくなっています。
課題2 複数路線が乗り入れている大きな駅は複数の白い長方形で表現されておりますが、駅がどこに該当するのかが非常にわかりにくくなっています。特に有楽町線・半蔵門線・南北線が通っており、赤坂見附駅とも直結している永田町駅は、位置関係を判断することが非常に困難です。路線の上に駅名が被っており、近くに寄らないと何が書いてあるかわかりません。
都営地下鉄の路線図は2000年に大江戸線の全線開通と共にリニューアルをされています。この路線図はフリーデザイナーの大西幹治氏がコンペで獲得したもの。リニューアルによって、上記の課題は解決されました。
東京メトロの路線図には「より正確な位置関係がわかるように」という設計思想があり、実際の地図に沿った路線図となっています。
一方、都営地下鉄は「環状線である大江戸線に乗るユーザーを増やしたい」という設計思想があり、大江戸線を目立たせ路線図の中心に配置しています。どちらもユーザーの利便性を考えての設計ではありますが、設計思想の違いによりデザインは大きく異なります