かつて採算があわないと言われ敬遠されていた個人への宅配便を作り上げたヤマト運輸、その中核を担った方の著書になります。どのように会社を変え、また新たなサービス検討し展開できたのか、勉強したいと思い読みました。
■備忘メモ
●二次産業と三次産業の違いを意識(在庫を持てる差)
二次産業の製造業は、時間をかけて売れる
三次産業の物流含めたサービス業(運輸やホテル等)は、在庫を持てない。
→昨日の「座席」や「部屋」を販売する事はできない。
機会損失はどの産業でも避けられるが、特にサービス業では顕著
●全国網を使うための拠点数の仮説の立て方
全国普及しているもので、他の拠点数があるのは、どのくらいか。
【ルールを作ってそれを満たすためには】
歩いて30分以内という定義にするとどのくらいの数が必要か。
【他を参考にするベンチマーク方式】
郵便局の数:個人宅に運ぶサービスを提供しているので。
学校の数:子供が歩いていける距離にあるので。
警察署の数:治安維持に必要な数があるので。
●個人需要ではなく、広くマス需要としてみる。
個人レベルでは、日々の宅配需要に差はあるが、それを大きなくくりで見れば
安定した宅配需要になるはず。
※統計や確率にある大数の法則を思い出しました。1回1回は偏りがあっても、試行回数が増えれば期待値周辺におちつく考えと同じですかね。
●荷物は「口をきかない」、「足がない」
誤配送にならないように、目的地等の情報管理が必須だった。
●物流は帰る時に運ぶ荷物がないと、効率があがらない。
帰りは空気運んでも儲からないですからね・・・
往復の計画を考える必要がある。
●経営者の10の条件
特に大事なのは「論理的思考」「倫理観」との事です。
-論理的思考:自分の頭で筋道たてて考え、説明する。
※他者・他社のタダの真似では勝てない
-倫理観:単純な利潤だけでは、地域社会に認められない。
企業としてしっかり社会貢献を考える必要がある。
■まとめ
社内反対を押し切っても宅配便サービスに転換した悩みや苦労についても語られており、輝かしい決断の時というわけにはいかないみたいですね。
また、大口の百貨店や電機メーカ等の法人宅配を切った決断については、会社で継続して利益を出している重要分野である中でも、論理的に考えた結果やりきっており、トップには大きな決断力が必要だと痛感させられました。