学校だろうが企業だからが政府機関だろうが、誰もが人材育成が大事だと認識しているかと思いますが、いざその育成方法には優れていると評価される会社は少ないですよね。1社しか経験がないので私も横柄な事はとてもいえませんが、一般論として現場の実態をあわない理想論だけの研修、現場のベテラン任せOJTという名の放置など、ニュースや雑誌等で見受けられます。
そのため、標題の本について読んで勉強してみました。
書評
人材育成の目的、日常業務や業務革新を進める人材育成の方法論、そのための研修方法、不況下でも育成活動を進めるための方針まで、網羅的に記載されております。そのため、企業の管理者や人事部の観点で今後どのような育成指針をすべきかと考える時や計画見直しする時に読むといいですね。逆に、具体的な特定の業務を教えるというケーススタディ本ではないので、そこは注意ですね。
会社の事業戦略や部下の性格から、まずはこんな育成指針がいいなと大枠を決める時に非常に有力な本だと思いいます。
備忘メモ
部下タイプ別における育成指針 ※私的な改変しております
部下を軸毎に大別すると6つのタイプとなり、そのタイプ別に対応する育成セオリーがある。常に正しいと分けではないが、一般的な傾向ではあるのでとっかかりとしてまずセオリーをベースに考えるとよい。
前提:測定方法
概ね3つの方法があり、アンケート法、周りの人による観察法、業務指数(訪問数や受注数など)を組み合わせて、対象者の意欲や能力を測定・評価する。
タイプ1:能力と経験
→両方とも低いなら多少独裁的でも徹底的に指示する。
→経験だけあるなら、今できている仕事をベースに少しずつできる事を広げ
られるように少しチャレンジをしてもらう
→能力だけあるなら、難しい業務を渡して背伸びでも経験をつませる。
大化けする可能性もあるが、フォローは必要
→両方あるなら昇進
タイプ2:能力と意欲
→両方とも低いなら多少独裁的でも徹底的に指示する。
→能力だけなら、思い切って仕事まかせてみてやりがいをもってもらう
参謀タイプとしていい人材
→意欲だけなら、口だけの感じてしまう時もあるのでレビュー間隔を狭める
→両方あるなら、任せる
タイプ3:自己顕示欲と社会性
→両方とも低いなら、朝礼等で露出機会を増やす
→自己顕示欲が高いなら、特に周りの人を引き立てた方がいいよと面談
また、困難な時はコンプライアンス系の問題を引き起こす可能性も高めな
のケアする
→社会性が高いなら、こちらも露出機会を増やす。非常によい管理者になる可
能性が高いので、その人の意見を聞く姿勢を見せる
→両方高いなら、よいリーダの可能性があるが、正論で人を縛りすぎないよう
少し控えめにするようフィードバックする。
タイプ4:倫理性と実証性
→両方とも低いなら、まずは今の作業を地道にやってもらい、鍛える
→倫理性が高いなら、口先だけの理想論を語るタイプなってしまう恐れもある
ので、現場の一線等で現実を学んでもらう。
→実証性が高いなら、仕事をサボらないように難しい状況を与えて鍛える
→両方とも高いなら、将来のリーダ候補ならので難しいチャレンジを与える
タイプ5:信念と支配欲
→両方とも低いなら、人に支配されて損するタイプなので個別に見て評価
→支配欲が高いなら、人とのコミュニケーションの重要性を問う。
また、支配欲の高さが仕事の成果につながる事は少ないので抑えるよう指導
→信念が高いなら、独りよがりになりがちなので仲間と一緒に頑張ろうと指導
→両方高いなら、大物の可能性はあるが悪い意味で警察や官僚的にならないよ
う指導
タイプ6:論理性と情緒性
→両方とも低いなら、情緒性から鍛えるとよい。悔しがらせる状況で言い訳を
させるようにあえてすると、論理的に考えるクセがつく
→論理性が高いなら、人の苦労話を聞いたり、小説を読んだりで人生の波乱万
丈感な所を感じてもらって情緒性をもってもらう
→情緒性が高いなら、文章で報告をもらう機会を多めにして論理的に考え、ま
とめさせる事で論理性を鍛えるようにする
→両方高いなら、頑張ってもらう
まとめ
間違いをしていない人は、よほどの大天才でもない限り、何もしてない人とも記載されております。自然法則を発見した、帝国を作った、建て直した、成功する企業を作った人など、明らかに才能ある人たちも多数の失敗をした上で、大成功で上書きしている形です。 ※致命的な失敗はしてないともいえますが。
なので、目立ちやすい失敗を取り上げての減点主義に走ってしまう事が常々ですが、冷静にその人が成し遂げている日々の成果にも目をむけるよう強めに思いを持ち、よい所と悪い所の両方にフィードバックを行う事こそ、大事とありました。
まさにその通りだと思います。
私が評価側に立つかはともかくとして、よき考えとして肝に銘じたいと思います。