価格戦略について調べていく内に、腑に落ちない表現がでてきました。小売りが販売する製品価格をメーカ側が、「値下げするな」と強制するのは違反であるというものでした。メーカ側は、小売りに卸した段階で利益はでているので、小売りが後はどのように製品を扱うおうが(薄利多売 or 多利小売?)、直接影響をうけず、小売りに嫌われるリスクを犯して拘束したがる理由は何かなというものです。
この行為自体は、独占禁止法違法として間違いなく記載されている事項なのはすぐわかりましたが、具体的にどんな背景があったのかはなかなか記されていませんでした。
今回調べてみて、個人的にある程度納得できた考えがまとまったのでメモに残そうと思います。
■備忘メモ
●そもそもの背景:再販売価格の拘束
指定した価格で販売しない小売業者等に経済上の不利益を課したり、出荷を停止したりするなどして小売業者等に自社の商品を指定した価格で販売させることは、最も重要な競争手段といえる価格を拘束するため、原則として禁止されています。
●何故、値下げの禁止についての言及が多いのか。
メーカがかつて値下げ禁止について小売りに圧力かける事例が多い(かった)ため。
(従わない場合は、商品を卸さないなど示唆有)
例、
-ハーゲンダッツ事件
→価格を指定以上で販売するように命令
-アディダスジャパン㈱が違反
→イージトーン(歩いてフィットネス効果でる靴)を指定価格以上で販売するよう命令。
-コールマンジャパン㈱が違反
→キャンプ用を定める価格以下で販売する事を指示。
→該当商品の割引について条件出し(他の全商品とあわせてなど・・・)
●メーカ側が値下げを嫌う動機予想(個人的な推測)
最終的には儲けが減るために行きつきますが、具体的な要因を3つ考えてみました。
①製品とメーカとしてのブランド価値を守るため
該当製品そのものが「安い物」と思われたり、会社が「安い物をつくる会社」とイメージを思われたくない。
②製品価格を下げざるを得ないスパイラルに入るのを防ぐ
(A)メーカAのある商品の価格は、最初「100」だったとする。
※卸値「80」
(B)小売りとしては、どのメーカ製品が売れようがお店が儲かればいいので、メーカAの製品を「90」として「客寄せ」として使い、集客を増やし儲けをえた。
(c)消費者は、メーカAの該当製品は「90」で購入できると考えるようになった。
(d)別の小売り店舗で「100」で売ってても、(c)にあるように消費者は「90」と認知しているので、購入を控えるようになった。やむなく、別の小売り店舗も「90」で販売するようになった。
(f)小売りからメーカへ、卸値が「80」では元々の利益(20:100-80)を確保できないので、卸値を下げるように圧力がくる。
(e)メーカとしても卸値を「70」に下げざるえをえなくなった。
③値段に応じて生産計画を立てており、それが崩れるのを防ぐため
メーカ内で需要曲線を考慮して価格と販売個数≒生産個数を策定し、事業計画をたてていると思います。それが、自社でコントロールできない小売りの価格を操作されると、販売個数の上昇≒生産個数を変化させる事が必要となって、メーカ側の工場を混乱させる事になるので避けたい。
-まとめ
メーカとしては小売りに売れた時点で利益でてるのに、何故、小売りに嫌われるリスクおかして価格を拘束、特に値下げを禁止するのかと一瞬思い悩みました。
結論として、ブランド維持、結果的にメーカ側の卸値まで下がる、生産ライン等の自社戦略がくずれる、このような理由から値下げするなと言いたくなるのかと考えました。
-Tips
そこで、メーカ希望小売価格という「お願い」をするのが作戦みたいですね。仮に小売り側に値下げされても、消費者にはこの製品には、「小売希望価格」の価値が元々ありますとアピールにもつながります。※いちいち気にしてないと思いますが。
あと、希望小売価格以上で販売される事への違法は見つけられなかったですが、これはそんな事すると、小売り同士も競争しているので、特別な理由(山や限界集落などの物流コスト等)もなく価格を上げる事ができない競争原理が働いていて、そんな事例の絶対数が少ないためですかね。